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地方創生・官民連携 読了目安 5分

官民連携は、
立場の違いを消すより、
目的を言葉にする。

官民連携を前へ進めるために大切なのは、立場や考え方を無理に同じにすることではなく、「誰のために、どのような状態をつくるのか」という目的を、関わる皆様と繰り返し言葉にすることだと僕は考えています。

官民連携を前へ進めるために大切なのは、立場や考え方を無理に同じにすることではなく、「誰のために、どのような状態をつくるのか」という目的を、関わる皆様と繰り返し言葉にすることだと僕は考えています。行政、企業、地域の方々には、それぞれ守るべき責任や判断の基準があります。その違いをなくそうとするより、違いがある前提で同じ目的へ力を重ねる方が、協働は誠実で、長く続くものになります。

立場の違いは、障害ではなく、役割の違い。

僕は、企業や自治体、地域の皆様と向き合う中で、同じ言葉でも立場によって受け止め方が変わることを学んできました。民間にとっての速さが、行政にとっては公平性や説明責任を確かめる時間であることがあります。地域にとっての切実な声が、事業としては継続方法を考えなければ実現できないこともあります。

どちらが正しいかを急いで決めると、相手が守ろうとしているものを見落としてしまいます。僕自身、構想を早く形にしたい気持ちが強いほど、結論を急ぎそうになることがあります。そんなときに必要なのは、相手を動かす説明ではなく、まず相手の責任や迷いを理解するための対話です。

違いが見えたことは、失敗ではありません。むしろ、協働を現実に合わせて設計し直すための大切な情報です。行政は公共性と継続性を、企業は専門性と実行力を、地域の方々は暮らしに根差した知恵を持っています。それぞれの強みが重なる場所を探すことが、官民連携の出発点だと思います。

同じ立場になる必要はない。同じ未来を見失わないことが大切です。

協働を前へ進める、四つの共通言語。

第一は、「誰のための取り組みか」を具体的にすることです。「地域活性化」や「課題解決」という大きな言葉だけで終わらせず、どのような方の、どのような不便や不安を軽くしたいのかを確かめます。届けたい相手が見えると、企画の優先順位も判断しやすくなります。

第二は、「実現したい状態」をそろえることです。イベントを開く、仕組みをつくる、情報を発信すること自体を目的にせず、その結果として何が変われば一歩前進と言えるのかを話し合います。手段が変わっても、目指す状態が共有されていれば、軌道修正はしやすくなります。

第三は、「誰が何を決められるか」を明確にすることです。担当する作業だけでなく、確認が必要な事項、最終判断をする方、公開前に守るべき手順まで整理します。善意で進めたことが相手の責任を越えないよう、判断の境界線を先に共有することが信頼を守ります。

第四は、「いつ見直すか」を決めることです。最初から完璧な計画を求めるのではなく、小さく始め、現場の声と事実を確認し、次の判断日を置きます。続ける、変える、止めるを感覚だけで決めず、関係する皆様が納得できる材料を一緒に積み重ねていきます。

実務では、最初の打ち合わせで「届けたい相手」「実現したい状態」「各者が守るもの」「判断する人」「次に見直す日」の五つを一枚にまとめます。意見が分かれたときは、立場の違いを責めるのではなく、この五つのどこに認識のずれがあるかへ戻ります。それだけでも、議論を人の問題ではなく、設計の問題として扱いやすくなります。

もちろん、僕もすべての関係者の事情を最初から理解できるわけではありません。現場の声を教えてくださる方、制度や手順を丁寧に説明してくださる方、率直に違和感を伝えてくださる方がいるからこそ、構想を現実へ近づけることができます。その一つひとつの対話に、心から感謝しています。

官民連携は、誰か一人の正解を通すことではなく、異なる責任と知恵を持つ人たちが、同じ目的へ向けて力を重ねる営みです。立場の違いを恐れず、分からないことを確かめ、目的を何度でも言葉にする。これからも目の前の方々への敬意を忘れず、地域にとって無理なく続き、実際の変化につながる形を、皆様と丁寧につくっていきたいと思います。

木ノ根 雄志

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