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新規事業 読了目安 5分

新規事業は、
アイデアより先に、
困りごとを確かめる。

新規事業を前へ進めるために、最初に磨くべきなのはアイデアの華やかさではなく、「誰の、どんな困りごとを、どこまで軽くするのか」という問いだと僕は考えています。

新規事業を前へ進めるために、最初に磨くべきなのはアイデアの華やかさではなく、「誰の、どんな困りごとを、どこまで軽くするのか」という問いだと僕は考えています。新しさは人の関心を集めますが、使う方の現実に役立たなければ、長く必要とされる事業にはなりません。事業の出発点を、自分たちがつくりたいものではなく、相手が本当に変えたい状況に置くこと。それが、構想を実装へつなぐ第一歩です。

良い案ほど、早く形にしたくなる。

僕は新しい可能性を見つけると、すぐに全体像を描き、早く形にしたくなるところがあります。できる方法を考え、関係する要素をつなぎ、一気に進めようとする。その勢いが前進を生む一方で、つくる側の熱量が先に立つと、相手の声を十分に聞く前に答えを決めてしまう危うさもあります。

伝わらないときに説明を増やすほど、かえって本質から離れてしまうこともあります。必要なのは、アイデアの魅力を強く語ることではなく、相手が今どのような方法で困りごとに対処し、何に時間や負担を感じ、どこまで変われば助かるのかを教えていただくことです。問いに戻るたび、事業は少しずつ相手の現実に近づいていきます。

新規事業の出発点は、思いついた瞬間ではなく、誰かの困りごとを正しく理解できた瞬間です。

始める前に確かめたい、四つの問い。

僕が新しい事業を考えるとき、大切にしたい問いが四つあります。第一は、「誰の困りごとなのか」です。「企業」や「地域」のように広く捉えず、どの立場の人が、どんな場面で困っているのかまで具体的にします。

第二は、「今はどう乗り越えているのか」です。新しいサービスがなくても、相手は何らかの工夫や代替手段で日々を動かしています。その方法を否定せず、何が守られ、何が負担になっているのかを理解します。今ある習慣を知ることは、導入後の姿を考えるうえでも欠かせません。

第三は、「最小の形で確かめられるか」です。最初から完成品をつくるのではなく、一人に話を聞く、一つの工程だけ試す、短い期間で反応を見る。小さく試せば、失敗の負担を抑えながら、思い込みを早く修正できます。うまくいかなかった結果も、次の判断を正確にする大切な材料です。

第四は、「続ける責任を持てるか」です。始めることより、使い始めた方を支え、改善を重ね、約束した価値を届け続けることの方が難しい。担当する人、必要な費用、相談への対応、終える場合の配慮まで考えられているかを確認します。

この四つは、大きな投資を伴う事業だけのものではありません。社内の新しい仕組み、地域の企画、身近なサービス改善にも使えます。企画書を整える前に、対象となる方の言葉を三つ書き出し、今の対処方法と、最小の実験を一枚にまとめてみる。もし書けなければ、つくる前にもう一度聞きに行く。その一手間が、独りよがりな実装を防いでくれます。

僕自身、すべてを最初から正しく見通せるわけではありません。だからこそ、分からないことを認め、相手に教えていただき、試した結果から学び直す姿勢を忘れないようにしています。率直な声をくださる方、挑戦の機会を託してくださる方、一緒に改善を重ねてくださる仲間に、心から感謝しています。

新規事業は、誰かを驚かせるためではなく、誰かの明日を少し良くするためにある。これからも目の前の声を大切にし、必要とされる形を皆様と丁寧につくり続けていきたいと思います。

木ノ根 雄志

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