WEBやSNSで伝えるときは、こちらが話したい順番より、相手がいま知りたいことから届ける。その方が、必要な情報がまっすぐ伝わります。読む方が迷わず答えへたどり着けるようにすることも、大切な気配りだと思っています。
伝えたいことが多いほど、相手の入口が見えにくくなる。
僕はWEB・SNS・マーケティングに向き合う中で、発信する側と受け取る側では、情報を見る順番が違うことを何度も意識してきました。発信する側は、背景にある想い、これまでの経緯、工夫した点を知っています。だからこそ、その大切さを最初から丁寧に説明したくなります。
僕自身も、構想への思いが強いほど、前提から順に伝えたくなることがあります。しかし、初めて情報に触れる方が最初に知りたいのは、「これは自分に関係があるのか」「何が分かるのか」「次に何をすればよいのか」という、もっと手前の答えかもしれません。
相手が知りたいことへたどり着く前に情報から離れたとしても、それは関心がなかったからとは限りません。こちらの順番が、相手の疑問の順番と合っていなかった可能性があります。伝わらないとき、表現を強くする前に、まず並び順を見直す。その姿勢を大切にしたいと思っています。
発信の順番は、相手をどれだけ思い浮かべたかの表れです。
相手の立場から、順番を考える。
まず、「誰の、どの疑問に答える情報か」を示すことです。幅広い方へ届けようとすると、言葉はかえって曖昧になりやすくなります。いま困っている方、比較している方、初めて知った方など、最初に思い浮かべる相手を一人に近づけるほど、必要な言葉を選びやすくなります。
次に、「最も大切な答え」を先に置くことです。何についての情報なのか、読むことで何が分かるのかを、見出しや冒頭で簡潔に伝えます。背景や詳しい説明は、その答えに関心を持ってくださった方が、必要に応じて読み進められる順番にします。
そして、「判断に必要な条件」を隠さないことです。対象となる方、できることとできないこと、必要な準備、まだ決まっていないことを分けて示します。良い面だけを強調するより、条件や限界を正直に伝える方が、相手は自分に合うかどうかを落ち着いて判断できます。
最後に、「次の行動」を一つに絞ることです。詳しく読む、問い合わせる、申し込む、いったん保存する。選択肢を増やしすぎず、情報を受け取った方が無理なく進める一歩を示します。行動を急かすのではなく、迷いを減らすための案内として置くことが大切です。
公開する前には、「最初の数秒で何についての情報か分かるか」「読み手が最初に抱く疑問へ答えているか」「判断に必要な条件がそろっているか」「次の一歩が一つに見えるか」の四点を確認します。そして、自分の説明を知らない方になったつもりで、見出しだけを上から読み直します。順番に違和感があれば、文章を増やす前に並べ替えます。
もちろん、相手の疑問を最初からすべて分かるわけではありません。だからこそ、公開して終わりにせず、いただいた質問や反応を受け止め、分かりにくかった場所を整え直します。率直に尋ねてくださる方、言葉の不足を教えてくださる方がいるから、発信は少しずつ相手に近づいていきます。その一つひとつの声に、心から感謝しています。
発信は、自分を大きく見せるためのものではなく、必要な方が安心して情報を受け取り、自分に合う一歩を選べるようにするものだと僕は思います。伝えたい思いを大切にしながら、その思いを相手が知りたい順番へ丁寧に翻訳し、届いた先の判断や行動まで支えられる発信を積み重ねていきたいと思います。
木ノ根 雄志