予定が埋まっていると、目の前の仕事を一つでも多く終わらせることへ意識が向きます。返事をする、資料を整える、次の打ち合わせへ進む。どれも必要なことですが、動き続けるだけでは、状況の変化や相手の小さな迷いを見落としてしまうことがあります。
僕は、前へ進めたいと思うほど、早く答えを出すことに気持ちが向きます。だからこそ、立ち止まる時間を「余裕ができたら取るもの」にせず、予定の一つとして先に置きたいと思っています。考える時間も、誰かとの約束を丁寧に守るための仕事だからです。
考える時間を、空いたときに任せない。
立ち止まることは、期限を曖昧にしたり、決断を先送りしたりすることではありません。決める前に目的を確かめ、進めた後にずれがないかを見直すための時間です。短くても先に予定へ入れておけば、忙しさを理由に飛ばしにくくなります。
たとえば、大きな判断の前、一区切りを迎えた後、次の方へ仕事を渡す前に、少しだけ手を止めます。その時間に新しい作業を増やすのではなく、いま進めていることを同じ方向から見直します。予定どおりかどうかだけでなく、そもそも守りたかったものが守れているかを確かめます。
立ち止まる時間は、歩みを止めるためではなく、進む方向を確かめるためにあります。
目的、約束、まだ分からないことを確かめる。
最初に、いまの仕事が誰のどんな困りごとにつながっているかを見直します。始めたときの目的と、現在優先していることが離れていないか。作る側の都合だけで進んでいないか。目の前の作業を、届けたい相手の立場からもう一度見ます。
次に、すでに交わした約束を確かめます。期限だけでなく、返事を待っている方はいないか、説明が足りないままになっていないか、別の方へ負担が偏っていないか。新しい仕事へ進む前に、途中にいる方が安心して待てる状態をつくることも大切です。
そして、事実として分かっていることと、まだ確かめていないことを分けます。自分では理解したつもりでも、相手の考えを聞けていないことがあります。分からない部分を無理に埋めず、誰に何を伺うのかを決めれば、立ち止まる時間は次の行動へつながります。
見直した内容は、長い記録にする必要はありません。変えないこと、変えること、次に確かめることを一つずつ残します。何も変えないと決めた場合も、理由が言葉になっていれば、状況が変わったときに考え直しやすくなります。
一人で考えるだけで見えないときは、率直な意見をくださる方へ相談します。忙しい中で時間を使い、こちらの思い込みや見落としを教えてくださることは、本当にありがたいことです。いただいた声を聞いて終わらせず、何を受け取り、どう判断したかをできる範囲でお返ししたいと思います。
もちろん、立ち止まる時間を予定に入れても、急な対応が重なり、思うように取れない日もあります。そんなときも、できなかったことを責めるのではなく、次に確かめる時間を置き直します。完璧な習慣をつくることより、大切なことを見失ったまま進まないことの方が重要です。
動く速さは大切です。ただ、速さだけでは守れない信頼や、気づけない変化があります。これからも、支えてくださる皆様への感謝を忘れず、立ち止まる時間も仕事の一部として大切にしながら、一つひとつの歩みをより確かなものにしていきたいです。
木ノ根 雄志