誰かを応援するときは、自分が良いと思う答えを急いで渡すより、その方が何を大切にし、どこへ進みたいのかを先に聞くことを心がけています。応援する側の正しさではなく、相手が自分で選び、納得して進めることを中心に置く。その姿勢が、信頼を守るための出発点だと僕は考えています。
力になりたい気持ちが、先回りになることがある。
相談してくださる方を前にすると、少しでも早く役に立ちたいと思います。僕自身も、これまでの経験から見えた方法や、良いと思う選択肢をすぐに伝えたくなることがあります。相手を大切に思うからこその行動ですが、その熱意が強いほど、本人の気持ちを聞く前に話を進めてしまうことがあります。
けれども、同じ状況に見えても、大切にしたいものや背負っている事情は一人ひとり違います。早く結果を出したい方もいれば、納得できるまで考えたい方もいます。変えたいことの隣に、どうしても守りたいものがある場合もあります。こちらが良いと思う答えが、その方にとって無理なく続けられる答えとは限りません。
僕も、助けたい気持ちが先に立ち、説明を重ねてから、相手が本当に話したかったことは別にあったと気づくことがあります。そのたびに、応援は自分の知識を示す場ではなく、相手の選択を支える時間なのだと学び直します。答えを急がず、まず聞くことは、遠回りではありません。
応援とは、相手の歩幅を奪わず、隣で灯りを持つことです。
相手の選択を支える、四つの聞き方。
一つ目は、「いま、何を一番大切にしたいですか」と尋ねることです。目の前の課題だけでなく、守りたい人、続けたい仕事、変えたくない価値観が見えると、選択肢の考え方が変わります。こちらの結論を先に置かず、相手の言葉をそのまま受け取ります。
二つ目は、「どこまで一緒に考えると助かりますか」と確かめることです。話を聞いてほしいのか、情報を整理したいのか、具体的な行動を手伝ってほしいのか。必要な支え方を確認すれば、親切のつもりで相手の領域へ入りすぎることを避けられます。
三つ目は、「すでに考えていることはありますか」と聞くことです。相手の中には、まだ言葉になっていない答えや、試してみたい方法があるかもしれません。先にその考えを聞き、できていることを認めたうえで、自分の意見は一つの選択肢として丁寧に伝えます。
四つ目は、「次にいつ話しましょうか」を一緒に決めることです。一度の対話ですべてを解決しようとせず、相手が考えたり試したりする時間を大切にします。次に話せる場所が分かっていれば、任せきりにも、急かすことにもならず、安心して一歩を選びやすくなります。
僕は応援したい方と向き合うとき、「大切にしたいこと」「必要としている支え」「本人が考えている選択肢」「次に確かめる時」の四つを忘れないようにしています。話した後には、相手の言葉を自分の都合で言い換えていないか、決断を急がせていないかも振り返ります。
もちろん、いつも十分に聞けているわけではありません。良かれと思って先回りし、後から反省することもあります。それでも率直な気持ちを伝えてくださる方、立ち止まる機会をくださる方、信じて相談してくださる皆様のおかげで、僕は少しずつ向き合い方を学んできました。その信頼に、心から感謝しています。
誰かのためにできることを考えながら、その人が自分で選ぶ力を信じる。必要なときには手を差し出し、任せるときには見守り、また話せる場所を残しておく。出逢ってくださった一人ひとりの願いを大切に、答えを押しつけない温かな応援を、これからも皆様と重ねていきたいと思います。
木ノ根 雄志